英語はアメリカの公用語ではなかった
アメリカといえば「英語」というイメージをもつ方が多いだろうが、実は「英語」はアメリカの公用語ではない。
この事実はあまり知られていなかったのではないだろうか。
アメリカには連邦レベルでの公用語規定はなく、50州のうち31州は英語を公用語と定めているが、19州にはその定めがないという。
アメリカ人なのに選挙に出れない
西部アリゾナ州では、英語が完璧に話せないために「アメリカ人」なのに市長選に立候補した女性が候補失格とされたことに対して、「英語裁判」なるものも開かれた。
彼女はこの裁判に敗訴し、州最高裁にも上訴したが棄却されたという。
主張される「英語の公用語化」
こうした状況に対し、アメリカ大統領選挙の共和党候補を争うギングリッチ氏やロムニー氏は現在「英語を公用語に」という主張をしている。
2人はこう訴える。
「英語ができないためにきちんとした仕事にもつけず、アメリカンドリームが制限されるというような人がいては困るのだ。英語はわが国の言語だ」
果たして「英語の公用語化」が人々を幸せにするのか
しかし現状は、1980年代以降メキシコからの移民などによりヒスパニック(中南米系)が急増し、「スペイン語」は第2言語といえるほどに広まっている。
その多くの人たちを劣勢に立たせるような「英語公用化」は果たして本当に良いものだろうか。
ラスムセンが2010年に行った世論調査によると、87%が「英語を公用語にすべきだ」と回答しているという。
実は、この「英語公用語化運動」を始めたのは日系2世の上院議員であった「サミュエル・ハヤカワ」という男性だという。
「個々人がバイリンガルであるのは何の問題もないが、国家がそうであっては困る」
ハヤカワはこう主張したが、その当人が生まれ育ったカナダは「英語とフランス語」の2つの公用語を採用しているだけに矛盾を感じざるを得ない。
すでに多くの国民が「英語以外」の言語を話す状況の中で、「英語を公用語化」することが、果たして「英語ができないためにきちんとした仕事にもつけず、アメリカンドリームが制限されるというような人」を減らすことにつながるのだろうか?
この英語公用語化運動や調査結果には、疑問をいだかざるを得ない。
編集部 鈴木真美
Mauro E. Mujica: English as the Official Language of the US
http://latino.foxnews.com/latino/politics/2012/02/04/English is the language of success in America
http://articles.baltimoresun.com/2012-02-13/news/えっ、英語はアメリカの公用語じゃない?米大統領選の「隠れた争点」
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120219/